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    <title>双月書房（こ）</title>
    <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com</link>
    <description>双月書房（こ）・小説更新情報</description>
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    <copyright>Copyright ©2026 古代かなた.</copyright>
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      <title>第6話 - 風の剣士と剣の聖女</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2492/section/36542</link>
      <pubDate>Sat, 20 Sep 2025 21:39:00 +0900</pubDate>
      <description>リーシャとの死闘を経て、本格的に冒険者としての活動を始めたレイリ。穏やかな日常を取り戻すも束の間、彼女たちの前に、教会からの新たな刺客が迫りつつあった。
剣士と魔女。そして、剣の神子――三者三様の戦いが、今再び幕を開ける。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「そこまでにしろ、アイリス」

　低く抑制された声が、路地へ静かに響き渡る。
　それと同時に場を充たしたのは、もはや異様としか形容のできない強烈な威圧感だった。アイリスや生き残った暗殺者はおろか、あたしやリーシャですらその場へ縫いつけられたように動きを止める。

　金色《こんじき》の甲冑が奏でる重厚な金属音。遥かに見上げるほどの体躯を持つ偉丈夫が、戦いの最中に雄然と姿を現わした。

「ゴ、ゴルドウィン様……」
「先走ったな、アイリス。お前にはくれぐれも、軽率な行動を慎むようにと言い含めておいたはずだが」
「し、しかしゴルドウィン様！！　リーシャ・アリエスは魔女討伐の任に背き、教会の威信を損なった罪人です。貴方様の手を煩わせるまでもなく、このわたしが……」
「くどい。従騎士《スクワイア》が独断で裁量を振るうなど、あってはならぬこと。見えざる刃の使い手たちにも、無視できない損害が出ている。お前...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第5話 - 風の剣士と剣の聖女</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2492/section/36262</link>
      <pubDate>Sat, 20 Sep 2025 21:38:00 +0900</pubDate>
      <description>リーシャとの死闘を経て、本格的に冒険者としての活動を始めたレイリ。穏やかな日常を取り戻すも束の間、彼女たちの前に、教会からの新たな刺客が迫りつつあった。
剣士と魔女。そして、剣の神子――三者三様の戦いが、今再び幕を開ける。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「……まったく。帰りが遅いから様子を見に来てみれば、こんなことになっているとはね」
「ロミさんっ！！」
「遅かったじゃないの、ロミ！！」

　空に浮かぶ箒に乗って颯爽と現れたのは、言わずと知れたあたしの相棒だった。冴え冴えと輝く銀色の三日月を背に、夜空を熔かしたかのような濃紺の長衣《ローブ》を風に翻している。
　信じられないものを見たとばかりに、アイリスは呆然と目を見開いたまま、乾いた声で言葉を漏らした。

「そんな、馬鹿な……！！　この空間は、わたしの結界によって外部と隔離されているはず。どうやって、中に入ってきたっていうんですか！？」
「従騎士の身で結界を扱えるのは大したものだけど、リーシャの精度とは比べるべくもないわね。術に綻びがあれば、そこから干渉して侵入することなど造作もなくてよ」
「くっ……！！」

　忌々しげに唇を噛みしめるアイリスを尻目に、ロミはあたしの背後にふわりと降り立...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第4話 - 風の剣士と剣の聖女</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2492/section/36261</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:56:00 +0900</pubDate>
      <description>リーシャとの死闘を経て、本格的に冒険者としての活動を始めたレイリ。穏やかな日常を取り戻すも束の間、彼女たちの前に、教会からの新たな刺客が迫りつつあった。
剣士と魔女。そして、剣の神子――三者三様の戦いが、今再び幕を開ける。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　日が落ちて、外はすっかり夜の帳に包まれていた。
　街灯の明かりが路地を照らす中、先に異変に気付いたのはあたしとリーシャのどちらだったか。

「……どうしたの、レイリちゃん。怖い顔して」
「モニカ、あたしの側から離れないでね」
「え？　それって、どういう……」

　言うが早いか、あたしはモニカの手を引いて自分の後ろへと下がらせた。
　周囲の気配を探ると、ひりつくような殺気が路地のあちらこちらから発せられているのを感じる。
　数は――ざっと数えても十は下らないだろう。それと反するように、辺りからは人の往来がぱったりと途絶え、不気味なまでの静けさが漂っている。

　あたしはかつて、今の状況と近しい経験をしたことがあった。
　まだ、リーシャが教会に所属していた頃。執行者として現れた彼女が、あたしとロミを隔絶するために張り巡らせた人払いの結界――。

「念のために聞いとくけど、リーシャ。これって、...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第3話 - 風の剣士と剣の聖女</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2492/section/36259</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:56:00 +0900</pubDate>
      <description>リーシャとの死闘を経て、本格的に冒険者としての活動を始めたレイリ。穏やかな日常を取り戻すも束の間、彼女たちの前に、教会からの新たな刺客が迫りつつあった。
剣士と魔女。そして、剣の神子――三者三様の戦いが、今再び幕を開ける。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「あーもう、疲っっ……かれた……」

　その後、さらに何軒かのお店を回って、買い物を終えたのは日がとっぷりと暮れた頃だった。何だろ、普段の依頼よりずっとしんどかった気がするぞ。
　あたし達はカフェで一服した後に帰り道へついていた。夕暮れの街は人通りもまばらで、どこか寂しげな雰囲気を漂わせている。

「ほんっと、一生ぶんの買い物でもした気分だわ。これだけあったら、しばらくは着るものに困ることなんてなさそう」
「もうっ、何言ってるの。季節が変わったら、今の服は着られなくなるでしょ。それに、来年には流行も変わってるだろうし、レイリちゃんなら背だって伸びてるかも。こういうのは、定期的に買い替えていかないとだよ」
「うへー、そういうもんかね……」
「そういうもの！！」

　満面の笑みを浮かべているモニカの言葉に、深々とため息をつく。
　今やあたしの両手は、モニカや店員さんに乗せられるままに買い込んだ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第2話 - 風の剣士と剣の聖女</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2492/section/36258</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:56:00 +0900</pubDate>
      <description>リーシャとの死闘を経て、本格的に冒険者としての活動を始めたレイリ。穏やかな日常を取り戻すも束の間、彼女たちの前に、教会からの新たな刺客が迫りつつあった。
剣士と魔女。そして、剣の神子――三者三様の戦いが、今再び幕を開ける。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　そんな訳で、現在に至る。
　あたし達を連れ歩いてるモニカは本当に楽しそうで、鼻歌を口ずさみながら先を歩いていく。

「本当は、ロミさんも誘えるとよかったんだけどね」
「いつの間にやら、しれっと席を外してたからね。ったく、油断も隙もありゃしないんだから……」

　ロミは同じパーティの女魔術師で、あたしの相棒でもある。
　日頃から冷静沈着で状況判断に長けた彼女は、こんな時にもその能力を遺憾なく発揮していた。
　あたしもどうにかして彼女を巻き込……もとい、連れ出そうと試みたのだが、「私は遠慮しておくわ。三人で楽しんでいらっしゃいな」と躱されてしまった。くそっ、あの薄情者め。

「ロミさんって、本当に綺麗だよね。二人と違って、ちゃんと身だしなみにも気を使ってるし。どこで服を買ってるとか、そういうの聞いてみたかったなー」
「ま、ロミが美人ってことは否定しないけどね」
「うんうん、まさに大人の女性っ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>第1話 - 風の剣士と剣の聖女</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2492/section/36257</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:56:00 +0900</pubDate>
      <description>リーシャとの死闘を経て、本格的に冒険者としての活動を始めたレイリ。穏やかな日常を取り戻すも束の間、彼女たちの前に、教会からの新たな刺客が迫りつつあった。
剣士と魔女。そして、剣の神子――三者三様の戦いが、今再び幕を開ける。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　ここは、オストラント西街区。
　あたしが根城にしてる南街区は下町情緒のある猥雑とした雰囲気なのだが、この辺りはもっと小洒落た印象を受ける。
　街路は赤い煉瓦で舗装されており、脇を花壇や生け垣が彩っていた。洋服や小物を取り扱う商店、喫茶店や飲食店の類が軒を連ねている。

　爵位を持たない成金商人たちがこぞって住居を構えるだけのことはあり、中央の貴族街ほどでないにせよ、かなりの賑わいを見せていた。
　治安もそこそこに良く、街をゆく人々にも身なりのいい若い男女が目立つ。
　……正直言うと、こういう浮ついた場所はあまり肌に合う気がしない。

　今日の待ち合わせ場所である大きな時計塔の前には、すでに先客の姿があった。
　一人は暗褐色《ブルネット》のくせっ毛を伸ばした、ほわっとした雰囲気の女の子。そしてもう一人は、明るい栗色の髪をおかっぱに切り揃えた、アイスブルーの瞳を持つ少女。
　ブルネットの子―...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>プロローグ - 風の剣士と剣の聖女</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2492/section/36255</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:56:00 +0900</pubDate>
      <description>リーシャとの死闘を経て、本格的に冒険者としての活動を始めたレイリ。穏やかな日常を取り戻すも束の間、彼女たちの前に、教会からの新たな刺客が迫りつつあった。
剣士と魔女。そして、剣の神子――三者三様の戦いが、今再び幕を開ける。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　その日、わたしは敗北を知った。

　相手はわたしと同じ年頃。
　黒髪に勝ち気な瞳。瑠璃色の装束を纏う小柄な体躯。
　緩やかに弧を描く風変わりな片刃剣が得物の、風来坊じみた剣士の少女だった。

　彼女は強かった。ひと掠りすればたちまち生命《いのち》を断つ聖剣の刃を物ともせず、わたしが標的と見定める魔女と連携しながら猛攻を潜り抜けてきた。
　一合ごとに剣閃は鋭さを増し、戦いの最中ですらも成長を重ねていく。こちらの想定を超えた速度で迫る斬撃を前に、わたしは次第に劣勢へ追い込まれていった。

「あんたはどうなの、リーシャ！！」

　魔女が放つ雷撃を身に纏いながら、彼女はかつてわたしが投げかけた問いを投げ返してきた。自分にとって、譲れないものを力尽くにでも貫くために剣を振るうのだと。そう、声高に主張する。
　燃える瞳が、焦がれるほどに眩しくて。わたしはいつしか少女《レイリ》に釘付けになっていた。
...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>とっておきの魔法 (1) - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36212</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　あるところに、ヴィンという名の男がいた。
　学がなくまともな仕事にも就けない、その日暮らしの根なし草である。

　貧民街のありふれた孤児《みなしご》だった彼は、同じく貧民街に住んでいるけちな盗っ人の夫婦に拾われた。もっとも、それは慈悲や憐れみではなく、自分たちの仕事を手伝わせるための打算に過ぎなかったのだが。

　ヴィンにはお世辞にも、盗賊としての才覚がなかった。
　とんだ見込み違いだったと、夫婦はヴィンをあっさり奴隷商に売り飛ばそうとし、彼は命からがらそこから逃げ出した。

　盗みやスリのセンスはいまいちで、殺しや強盗ができるほどの胆力もない彼だったが、小さな頃から口先だけは達者だった。
　並べたてた嘘八百で相手を言いくるめて、金品や食べ物を巻きあげて糊口を凌ぐ日々。いつしかヴィンは、詐欺師として身を立てる術を学んでいた。

　詐欺師という生業は、顔が割れてしまえばそれまでである。いき...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>星降る夜のメロディ (2) - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36237</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　ルタは二人を先導すると、広場から離れたところにある小さな酒場の扉を叩いた。
　表に“緑花の彩り亭”と掲げられたその店は、昼下がりを過ぎて客足もまばらだ。

　ホール隅に設えられた大きめのテーブルにつくと、老爺は給仕の女性に三人分の軽食と飲み物を注文する。
　程なくして運ばれてきたのは一口大に揚げられたひよこ豆のパニスと、陶器のカップの中で芳しい湯気をたてるホットワインだった。

「わたしの本名は、シャルロッテ・マトリシア。……わたしの家ね、元々は貴族に仕える楽士の家系だったの」
「だった……ってことは、今は違うのか？」
「ええ。わたしの父、ディーターはミューザでも名の知れた楽士だったけど、それだけに敵も多くてね。横領の嫌疑をかけられ、投獄されてしまったの」
「ひどい話だな……」
「密告した張本人は、当時父の弟子をしていたあの男……ザカリーだって言われてる」

　カップを包み持つシャルの手...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>盗まれた宝珠 (1) - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36218</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　その村に一歩足を踏み入れた途端、ロットは違和感を覚えた。周囲から向けられている村人たちの視線は、どう見積もっても好意的とは言いがたい。
　猜疑、警戒、あるいは敵意。そんな負の感情が村の中に渦巻いているようだ。

　あまりに居心地が悪く、今夜はまともに宿が見つけられないかもしれない。そう思った矢先に、背後から声がかかった。

「もし、そこな御二方」

　声がした方を振り返ると、灰色の髪を後ろに撫でつけた初老の男が佇んでいた。
　村人たちよりも幾分仕立てのよい衣服に身を包んでおり、一目に見ても村長か、それに類する人物であると見て取れる。

「あなた方は旅の魔術師とお見受けします。我々に何とぞ、お力添えを願えませぬか」

　ロットが隣をちらと仰ぎ見てみると、ルタはゆったりと頷いてみせた。どうやら、彼の申し出を受けるつもりのようだ。

「我々にできることであれば、何なりと」
「おお、それはありが...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>とっておきの魔法 (2) - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36213</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「それでは、｜透明化《インビジリティ》の魔術をば。今しがたこの場に運ばれてきたこのナイフ、見事消してご覧に入れましょう」

　インビジリティは中級以上に分類される魔術の一種で、対象を目に見えなくする働きがある。本来であれば、魔術師ならぬ身のヴィンに行使できるものではない。

　にわかに始まった魔術の実演に、店内の客や店員までテーブルの周りに集まりだした。衆目が集まる中、ナイフを手に取ったヴィンが呪文を唱えだす。

「光より逃れる影、月の満ち欠け。我が魔力は、その身を虚ろに映す」

　詠唱が終わると共にナイフをなぞると、その刃がうっすらと透けていった。
　無論、これだけでは透明になったといえない。皿に盛られた肉料理を手にしたナイフで切ってみせると、肉についたソースが見えざる刃を伝って輪郭を形作る。

「一体、何が起きたんだ！？」
「やっぱり、本物の大魔術師だ！！」

　観客から起きたどよめき...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>迷いと祝福と (3) - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36227</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　自分の行為が無駄ではなかったという言葉に、ロットは少なからず救われた気がした。しかし、依然として少年の中の不安と葛藤は残り続けている。

「だけど、オレは結局あいつには遠く及ばない。ようやく始められた魔術の鍛錬だって、ちっとも上手くいかないんだ。こんな調子じゃ、フィアの隣に並び立つなんて……」
「……あのな、君。少しばかり思い詰め過ぎだ。私からすれば、その歳で未経験の魔術を発動させられている時点で上澄みもいいところなんだ。私が初めて治癒術を使えるようになったのは、十四の頃だぞ」
「そ、そうだったんですか？」

　意外そうな顔をするロットを前に、マルテは苦笑いを浮かべる。

「せっかくだから、少し私の昔話にも付き合ってもらおうか。もう随分昔の話になるが、私は修道女見習いだった頃、リーシャ様の世話役を務めていたんだ」
「それは……優秀だったんですね」
「いいや、むしろその逆だよ。あの当時、リ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>精樹の森のドライアード (1) - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36229</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　その森には、古くより伝わる伝承があった。
　森にけぶる深い霧は如何なる者の侵入をも拒む。鬱蒼と茂る樹々の並びは移ろい続け、一度として同じ姿を留めることはない。

　数多の旅人が森に立ち入ったまま、再び戻ることはなかった。命からがら逃げおおせた人々の中には、得も言われぬ美しい森の精を見たと語る者もいたが、真偽を確かめる術はどこにもなかった。
　いつしか森は禁足地とされ、誰もが往来を避けるようになってしまった。国土の大半を森が占めている聖王国の地図上でも、その一帯には不自然な空白が広がっている。

　“｜精樹の森《ストロミーヴィル》”――霧に閉ざされた彼の森を、人々は畏敬の念を込めてそう呼んだ。

　　◆

　人の手が入らなくなって久しい荒涼とした道を、二つの人影が進んでいた。
　一人は老爺。獣道をものともしない立ち姿は、老いさらばえた外見に見合わぬ力強さを見る者に感じさせる。
　そして、老...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>精樹の森のドライアード (2) - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36230</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「これは……」

　行き着いた先に広がる光景に、ロットは思わず絶句してしまう。
　集落の跡地であったと目される場所には、もはや原型すら留めていないほどボロボロになった、木造家屋の残骸が無数に折り重なっている。

　辛うじて形を保っている建物を一軒ずつ見て回っていくが、生きている人間はどこにも見当たらなかった。
　墓地に弔われている者はまだよかったのかもしれない。屋内や道ばたに転がったまま、完全に白骨化している遺体も少なくなかったからだ。

「……ひどい有り様だ。こいつを全部、あの精霊がやったっていうのか」
「いいや、違うな。ドライアードは自ら進んで、人々に危害を及ぼすような真似はせん。それに見てみよ。遺体にはどれも争った形跡がない。疫病か、飢餓か……いずれにせよ、何らかの外的要因によって滅んだと考えるのが妥当じゃろうな」

　二人はなおも廃墟の探索を続けた。
　これだけおびただしい数の死体...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>精樹の森のドライアード (3) - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36231</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　探索を終えた老爺と少年は、村の広場へと戻ってきた。太陽はとうに中天を過ぎ、空は茜色へと染まりつつある。

　重苦しい沈黙が横たわる中、ロットがぽつりと口を開いた。

「……なあ、ルタ様。これからどうするつもりなんだ？」
「無論、このまま捨て置くわけにはゆかぬ。あのドライアードを何とかせねば、森は霧に閉ざされたままであろう」
「けど、方法なんてあるのか？」
「確かにドライアードは強力な精霊じゃが、弱点も存在する。彼女らには必ず、依り代になった樹が存在しておるのじゃ。それを切り倒すか……あるいは焼いてしまえば、存在を維持できずに消滅するじゃろう」

　ルタが下した結論に、ロットは少なからぬ動揺を覚えてしまう。

「それは、あのドライアードを……アーニャさんを殺すってことか？　無理やり殺されて精霊にされた挙句、もう一度殺されるなんて……そんなの、あんまりじゃないか」
「儂とて可能であれば、この...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>精樹の森のドライアード (4) - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36232</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「それで、ルタ様。オレは一体、何をすればいいんだ？」

　すっかり日が沈んだ頃合いを見計らって、二人は再びスエンの家を訪れていた。
　朽ち果てた家屋を前に、ルタは自らの弟子に対して問いかける。

「ロットよ。かつて女神が人に授けた、魔術の系統について覚えておるか？」

　まだ、旅立って間もない頃。旅路の空でルタより教わった、魔術の成り立ちについての講義を思い返す。

「えっと……。確か、魔術《ソーサリー》、治癒術《ヒーラニクス》、召喚術《コンジュアリー》、錬金術《アルケミー》、闘気術《ストラグル》……だったよな？」
「左様。お主が知るにはまだ早いと思って、伏せておいたのじゃがな。心霊術《ネクロマンシー》……精神と霊体の働きを操る、第六の魔術系統が存在する」
「第六の、魔術系統……」

　ひとたび取り扱いを誤れば、容易く邪法へ堕ちる危険性を孕んだ禁断の魔術系統。故に死霊術とも称され、存在その...]]></content:encoded>
    </item>
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      <title>精樹の森のドライアード (5) - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36233</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「ルタ様……」
「お主の名を、聞かせてもらおうか」
「ええ、私の名はスエンです。……そして、今の｜オ《・》｜レ《・》はロットでもある」

　覚醒した少年の回答に、ルタは満足げに頷いた。

「どうやら、無事にスエン殿の霊体を制御下に置くことに成功したようじゃな。よくぞ、儂の術に耐えきった」
「ありがとうございます、ルタ様。私のような者にこのような機会を与えてくださって、心より感謝いたします」

　そう言って、深々と頭を下げる。ルタが施した憑依の術法によって、ロットとスエンの精神は見事に同調を果たしていた。
　現在は主導権をスエンに譲っており、細かい仕草や表情、言葉遣いはロットのそれとはすっかりかけ離れてしまっている。

「礼には及ばぬよ。その少年が身を挺してお主を救おうとしなければ、儂とてこのような手には踏み切れなかったのじゃからな」
「ええ、そうでしたね。ロット様、あなたにも深くお礼申し上...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>歩むひととせ - 厳冬 - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36234</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　一歩先すら判別できない、純白の闇が視界を埋め尽くす。
　雪深い山中の道なき道を、レイリとフィアは黙々と歩み続けていた。

　やがて二人が辿り着いたのは、一面が氷に閉ざされた白銀の針葉樹林。

「……どうやら、当たりだったみたいね」
「それじゃ、師匠。あれが……？」
「ええ。村を襲った、異様な寒波の元凶はこいつらよ」

　吹きすさぶ吹雪の中で、青白い毛皮を纏った氷狼の群れが二人を取り囲んだ。
　震える指で木剣を握り締めるフィアに、レイリが檄を飛ばす。

「初めての実戦よ。覚悟はいいかしら、フィア？」
「も、もちろんです！！」
「その意気やよし！　さあ、気張っていくわよ！！」]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>星降る夜のメロディ (1) - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36236</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[　冬支度で追われる人々でひしめく、街の大広場。
　灰白色に澄んだ空気に乗せ、そこかしこから歌や演奏が響き渡っている。

　過去に多くの著名な音楽家を輩出してきた、王国でも有数の音楽都市、ミューザ。
　この街に住まう人々にとって、音楽とは日々を彩るありふれた要素の一つである。
　吐息が白むほどの冷え込みを打ち消すかのように、街を流れている旋律はどこか陽気なリズムを刻んでいた。

“　遥かな昔の約束を、今もまだ覚えている。二人で見上げた星の瞬きは、時が流れてもなお色褪せぬまま――。　”

　爪弾くリュートの音と透き通った声が、広場の雑踏を縫って静かに染み渡る。賑やかな周りの演奏と相反する、優しくも哀切を帯びた旋律に、道ゆく少年がふと足を止めた。

“　今は遠けし空の向こうで、せめて健やかでありますように。例え離れ時が過ぎても、再び巡り逢うその日を信じて――。　”

　噴水の縁石に腰かけながら歌...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>歩むひととせ - 盛夏 - 遥かな旅路、雲間の彼方</title>
      <link>https://ancient-katana.kashi-hondana.com/author/page/2490/section/36216</link>
      <pubDate>Sun, 24 Aug 2025 18:43:00 +0900</pubDate>
      <description>故郷の村を発った見習い魔術師のロットは、師である老魔術師のルタと共に各地を巡る旅をしていた。
旅の中で様々な出会いと別れを経験しながら、ロットは少しずつ成長していく。

ファンタジー世界を舞台にした連作短編集。

全32パートです。</description>
      <content:encoded><![CDATA[「はっ！　やっ！　いやぁっ！！」

　村外れの森に、鋭いかけ声が響く。

　歳の頃は十一くらい。栗色の髪を後ろで高く束ね、身軽な貫頭衣を身に付けた少女が、一心不乱に木剣を振るっている。
　その姿を腕組みをして見守るのは、長い黒髪を腰まで伸ばした女剣士だ。

「いいわねー、その調子。なかなかサマになってきてるわよ、フィア」
「はいっ、レイリさん！！」
「……でも、まだちょっと固いわねー」
「えっ？　今の動き、まだ何か変でしたか？」
「あー、違う違う。動きじゃなくって、呼び方。いちいち『さん』付けで呼ばれてたら、むず痒くってしょうがない。あ、そうだ。『師匠』とかどうよ？　やー、あたしも弟子を取るなんて初めてだからさ。そういうのって、ちょっと憧れてたのよねー」
「わたしは別に、構いませんけど……」
「よっしゃ決まり！　これからあたしのことは師匠と呼びなさい。いいわね、フィア！！」]]></content:encoded>
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